身の回りのものが、なんでもかんでも値上がりしてきましたね。ゆっくりゆっくり上がっていけばよかったかもしれないものが、10年も20年も上がらないままでいた(気がする)ところに、突然急激に値上が加速したような印象があり、今さらのように「そういえば物価って値上がりするんだった」などと、一気に目が覚めたような気分 です。おかげで、「これまでの当たり前を見直そう」という思いが湧き上がってきました。その「当たり前」とは、「使い捨て文化」からの卒業 です。
身の回りには、キッチンペーパー、ウェットティッシュ、お掃除シート、コーヒーフィルターなど、たくさんの使い捨て製品があふれています。どれも便利で清潔なので数十年、当たり前のように使い捨ててきました。これまでの自分の暮らしではそこに何の支障も感じなかったのですが、一度これらをひとつひとつ、見直していこうと思ったのです。(あくまでも私の場合は、です)。
コーヒーフィルターの枚数や値段なんて、これまで一切考えていませんでした。もちろん、値段に対してちょっとお得なほうを選ぶ、というのはずっとやってきましたよ。10年くらい前は110円出せば100枚のコーヒーフィルターが買えていたような気がします。ところがいつの間にか90枚になっていて、おや?と気づくのです。最近、大好きだったおせんべいの内容量や枚数が減ったり、袋入のビスケットが1枚減ったりと、おや?どころか、おやおやおや!という感じの勢い です。
そういった物価の変化にもう少し敏感になろうと、ホームセンターやドラッグストアのプライベートブランドなどにも目線を広げ、特に頻繁に購入する日用品や食品に限り、底値を調べる ようになっていきました。コーヒーフィルターもその一つです。以前はどこのものでも、何枚でも一切気にしていませんでしたが、今はダイソーの90枚入りが、近隣で手に入る最安値。
私は毎日、1~3杯のコーヒーを飲みます。仕事をしながら午前と午後で一杯ずつ、というのが最も多いので、平均すると一年間で365日×2=730回飲んでいることになります。
一度前から調べてみたかったことをやってみます。それは、年間のコーヒーフィルターの使用コストをみること。現在は90枚入りですが、今度ステルス値上げがあるかもしれないので、80枚、70枚の価格も一緒にみておきましょう。
まず、何をどうやっても毎日毎日、捨てるもののために年間¥898 のコストがかかっていたことを知りました。1回1回の購入は110円ということもあり、それが多いとか少ないといった感覚はありませんでした。しかし、このライフスタイルを10年続けたら、¥8,980 のペーパーフィルターを捨てているということになるんですね。
とりあえず使い捨てを見直すという観点から、金属フィルター に踏み出してみました。もちろん、買うまでは2ヶ月ほど悩みました。悩んで悩んで、知り合いの意見も聞いてみたりしましたが、「もうそれ、インスタントコーヒーにしたらいいだけでしょ?」と友人は一笑。「いや…そこはまだ手放せないのよ!」誰しも、自分の好きなもの、自分だけの楽しみというものがありますからね。
私が購入したのは、2層構造の金属ドリッパーで¥2,650(送料込み)。このフィルターを何日使ったらペーパーフィルターの価格を超えて、卒業価値がでてくるかを計算してみました。(※ちなみにダイソーでは、1~2杯用、2~4杯用、4~7杯用で入り数が異なっています。円錐や台形などの形によっても枚数や価格が異なり、色々なラインナップがありますが、ここでは自分が使っているものをメインとして単純な比較をしています)
なるほど、だいたい2~3年ほど使うと元が取れてくる、というわけです。3年間、毎日2回、金属フィルターをこまめに洗う手間を考えたら、ペーパーフィルターの使い捨てのほうがはるかに手軽で便利 だと大半の人が考えるのではないでしょうか。その面倒な手間を乗り越えて、「こっちのほうが紙の使い捨てではないから、お得なんです!」と言うためには3年以上使用しなくてはいけません。
私が購入したこの金属フィルターは今も進化を続けているようで、「2023年版」と銘打ってありました。2022版とは抽出穴の形状が異なったり、フックがついて吊り下げて乾かせるようになっていたりと改良点が販売ページに記載されていました。もしかしたらこのフィルターも成長過程かもしれませんが、アップデートをくり返して代わり続けるのはスマホも一緒ですから、「経験こそ最大の価値」と自分に言い聞かせて購入しました。
余談ですが以前の私はこういった新しいチャレンジものには割と簡単に手を出していました。しかし家計管理をきっちりやるようになってからは、1回1回の買い物の吟味時間を長くとるようになりました。思いつきで買って数百万、数千円の失敗をしないように気をつけています。小さな10円、100円が積み上がって大きくなるように、小さな失敗も積み上がりも大きいことを実感したからです。
上からみるとこんな感じです。
フィルターと、フィルターを支える土台からなっています。合体型ではないのは洗いやすくするためでしょうか?
このフィルターのいいところは、洗った後で吊り下げて乾かせるところです。
ゆっくりろ過されていきます。
さて、お味はどうだったでしょうか!
…ここは正直に言います。前のペーパーフィルターの味のほうが好きでした(笑)。せっかく買った金属フィルターの味が、どうも美味しく感じられない。そんな、まさか!! 信じたくなかったので、新しく買ったコーヒーの粉のせいかと考え、違う銘柄の粉を買って比較もしてみました。
これまで普通に美味しいと思っていたコーヒーは、銘柄を変えてもどれも今までとは違う味がします。
金属フィルターの商品説明にはこう書かれていました。「紙と違いコーヒー豆の風味や油分を最大限にお楽しみいただけます。」そうです、コーヒーの風味はよいとして、この油分を紙が吸い取るか、それともダイレクトに落としてくれるかの差を 私の場合は苦手だと味覚が判断してしまったのです。金属フィルターの商品評価コメントによると、美味しいと言われている方もたくさんいるので、これは本当にただただ、好みに個人差があり、私自身についてはコーヒー油の少ないコーヒーが好きなのだ、ということが体験してみて判ったわけです。
紙の使い捨てを無くせると期待した¥2,650。この味に慣れていないだけかもしれない、入れ方の誤差かもしれない、とその後一ヶ月、試行錯誤しながら使ってみましたが、やはりペーパーフィルターの味が好きだという結論に。
おいおい、¥2,650を払って経験値を手に入れて、またペーパーフィルターに戻るつもりか!3年分もの紙フィルター代の節約どころか、逆に浪費になってしまったではないか。どうしたものでしょう…。
そんな中、新しい知恵が見つかりました。それは、節約系ユーチューバーさんが「コーヒーはキッチンペーパーで私は入れてますよ」と言われていたのです。なぬ~!!!
…ということで、キッチンペーパーをフィルターにして入れてみました。以前使っていたプラスティック製のドリッパーを棚の奥からひっぱりだしました。(置いといてよかった…)
キッチンペーパー1枚をドリッパーの中にいれ、コーヒー投入。
いつもだいたい300ccのお湯を注ぐのですが、まずキッチンペーパーが水分をかなり吸い取ってしまい、抽出量が減ってしまう とわかりました。
そこで、キッチンペーパーの量が少ないほうがいいと考え、半分にカット。
2つに折って…
小さめのキッチンペーパーコーヒーフィルターにして入れてみました。
溢れそうになるのでゆっくり少量ずつ注ぎます。
同時に入れて味の比較も試みました。ハーフカットのキッチンペーパーでも、コーヒーは問題なく入れることができました。味は、ペーパーフィルターが最も自分の好みの味で、続いてキッチンペーパー、金属フィルターの順に並びました。
そこからさらに一ヶ月。金属フィルターにキッチンペーパーの切れ端をいれて油分を吸い取るかどうか試してみたり、ああだこうだ、なんだかんだやってみた結果、金属フィルターは、私の好みの味ではない(笑)。(それ、最初の1杯目で分かってた通りやん)という結論になりました。キッチンペーパーはまず先に水分を吸い取ってしまうので、油分を吸い取ってくれないようです。使い捨てコストの面だけを考えると、ペーパーフィルターよりもキッチンペーパーのほうが割安ではあります…。
いろいろ2ヶ月ほどあがいてみましたが、「使い捨てからの卒業」&「ちいさな節約」という私の夢は残念ながら成功しませんでした。いっそネルドリップに挑戦するか、いやいや、ネルドリップのお手入れは金属フィルター以上に大変だし…などとまた新しい妄想が出たり引っ込んだりしています。とりあえず今後は、年間コスト¥898を下げる方法について、別ルートから取り組んでいこう、と思っています。
・たまったポイントでコーヒーフィルターを買う(使い捨て量の変動なし&支出抑制)
・コーヒーを飲む回数を減らし、お茶に目を向ける(使い捨ての量の微減&支出抑制)
・コーヒーを愛する限り、固定費(必要経費)と考えて受け入れる(現状維持)
何事も経験してみないと分からないものですね。よい勉強になりました。