自分の浪費支出について把握してみよう!

お金のはなし

「お金のはなし」のカテゴリー2回目の更新です。毎月1回の資産の定点観測(1回目のテーマ)ができるようになったら、次におすすめするのが、自分の浪費支出を把握することです。

自分のお金の定点観測をしてみよう!
お金について向き合いたいと思っている方が最初にやるべきこと、についての私見。

誰でも心の中で、「これは無駄づかいだな」「浪費してしまったな」と思いながら使っているお金があると思います。お酒、お菓子、ゲームや漫画などの課金、タバコ、競馬やパチコンなどのギャンブル、洋服やネイル、お化粧品などの必需品以上の美容代、コンサートや観劇、推し活、コレクションなどなど。

資産管理ができるようになったことにはずみがつき、「つぎは家計簿だ!」と細かく支出を記録できるようになれたら最高ですが、人間の脳 の デフォルト(初期設定)は「永遠に怠けたい」なので、面倒なことは続きません。そこでまず、自分がふだん心の中で気にしている浪費だけを取り出して、1ヶ月にいくら使っているかを記録してみましょう。

私の例をお話しましょう。

私は離婚に多大なストレスがかかったこともあり、当時は毎日飲みにふけっていました。「これだけしんどい思いをしているんだから、飲まずにはいられない」と、毎日お酒を飲んでストレスを吹き飛ばしていました。特に大好きな格安ワインは2日で1本をあけてしまうのですぐに無くなります。さすがに浪費しているなと心配になり、もう少し割安で買えるところがないかと探すようになり、12本入りのお買い得ワインを箱買いし、「4ヶ月かけて飲むぞ!(月3本ペース)」と心に誓って2ヶ月で飲み切ってしまう(月6本)といった有様。もっとハイペースで飲んでおられる方からみればカワイイ量だと思われるかもしれませんが、自分と子どもの生活設計をしていかなければいけない状況で酒浸りになっている場合ではありませんでした。「そろそろ本気で貯金をしていかなければ…」という思いつつも、意志で止めることができません。「この調子でいつかアルコール依存症になったら嫌だな…」、と思うようになりました。

そこで、まず現状を知ろうと、1ヶ月の酒代(浪費)を把握 することにしました。

スーパーやドラッグストアでの買い物の際、必ずレシートをもらい、毎月の酒代のみを拾っていきました。卵や肉など他の金額は記録しません。なぜなら、生きるために必要な食べ物は必ず使わなければいけないコストですが、把握するのは頻繁に購入する必需品ではなく、「楽しみ」で使っているものだからです。自分が知りたいものだけを記録するだけ なら、そんなに大変な作業ではありません。やがて、私の1ヶ月の酒代は¥7,000~8,500くらいに安定していることが判ってきました。

1年間で計算してみましょう。

こうして、年間で8~10万円がお酒のために消えていることがわかりました。こんな暮らしを10年、20年続けるといくら使うかを計算してみましょう。ここではあいだをとって、年間93,000(月額7,750円)としましょう。

なんと恐ろしい金額でしょう。毎月7,750円のお酒を飲むと、20年で186万円を失う のです。

ここで提案したいのは、自分の浪費支出を出して、10年、20年の長期スパンで計算してみること です。タバコやスイーツ、課金、娯楽、洋服代、サブクス代でもなんでも良いので、自分が気になっている支出費目だけに焦点をあてます。

次に、理想的な家計支出の割合 について調べます。どのサイトの比率を目安にするかによって多少の差がありますが、自分の手取り金額や家族の人数などをもとに、自分の月の支出に近い事例を探します。

収入に応じた家計の理想割合を表でわかりやすく紹介。自分の家計と見比べよう/〇×でわかるお金の正解⑤ | ダ・ヴィンチWeb
『〇×でわかるお金の正解』から厳選して全5回連載でお届けします。今回は第5です。今さら聞けないお金のこと。持ち家それとも賃貸? 老後資金はどう貯める? そんな疑問を〇×式でみるみる解決! 節約→貯金→資産運用のゴールデンルールでお金を増やそ...

例えば、↑こちらのサイトを参考にしてみましょう。
手取り月収に締めるおこづかいの割合 を見ることができます。手取り20~40万の場合、おこづかいは25,000~36,000円。(黒字家計となる理想割合)

これを見て、「なあんだ、7,750円は全然大丈夫じゃないの!」とは言えません。お酒以外にも、子どものおやつ代、休日のお出かけ費用、子どもの趣味や娯楽など、ちょっとした消費の積み重ねで 理想的な1家庭のおこづかい代枠 をあっさり使い果たしてしまいます。

 

そこで私はまず手始めに、1ヶ月の酒代を切りよく5,000円の範囲に収めたらどうなるか、と考えました。

1日平均を算出すると、約167円。10年、20年でいくらかも計算します。

ここで浮かせたお金をもしも毎月投資に回したら、20年後にいくらになるかを計算 します。毎月2,250円を、つみたてNISAで、低く見積もって3%の複利で増やしたとします。

積立計算(複利毎課税)
定額積立の元利合計と利息の表を計算しグラフ表示します。複利計算毎に課税されます。

 

よろしければ、ご自身でも数値を入れてみてください。

年利3%
利息端数切捨て
積立年数 20年
積立額 0.225万円(2,250円)
積立前の元金 0円
復路方式 年複利
利息組込 期初
課税方法 複利毎課税20.315%スクロールダウンして、20年後の結果を見てみましょう。

20年後、元本54万円に対して、利子は189,349円、税引後の利息は 約15万円 です。

 

毎月の浪費をほんの少しだけセーブして、浮かせたお金を投資に回すと、低く見積もっても 約15万を生み出すことができる と判ります。私はこの 4年半くらいのつみたてNISAで平均約 4.5%の年利がありました。仮に4.5%で増えた場合は…↓

20年後の利息は約30万円。税引後利息は約24.5万円となります。何も考えずに好き勝手に浪費するお金をほんの少しだけ削るだけで、20年後に24万円の価値を生み出すとしたら、月々 2,250円 の重みが変わってきませんか?

複利とは、増えた利子を元本に組み込んでさらに利益が増えていくことです。例えば、1万円に3%の利子がついて、1年後に10,300円になったとします。追加入金を一切せず、そのまま放置して再投資した場合、2年後には、その10,300円に3%の利子がつくので、2年後には10,601円、3年後には10,913円。2~3年というわずかな年数だと複利の「利」はわずか1円や13円といった金額になります。ところがこれが10年20年、30年と経つとどうでしょう。なんと、1万円は30年後に、1万円以上になる、これが複利の力です。(ちなみに100万円で計算すると、20年後に75.7万円の利子、税引後利子約60万円)

この複利のパワーを知ると、日々の浪費がいかにもったいないかがわかってきます。このことに気づいて以後、7,000~8,000円の私の月々の酒代はストレスなく減っていきました。飲んで得られる一時的な快楽よりも、節約と投資でじわじわとお金が増えていく安心と、未来の選択肢が増える喜びのほうが勝っていきました。5,000円に下げることに成功してから、つみたてNISAの金額を増額。買い方や飲み方をさらに工夫をするようになりました。安易に購入していた缶チューハイをやめ、焼酎と炭酸飲料を買うスタイルに変更し、月3,000円まで減らすことに成功しました。

やがて、ストレスなく減らせていくこと自体がゲーム感覚で楽しくなり、子どもから「炭酸なんてすぐ泡が消えて水になるんでしょ。水でいいじゃん!」と言われて焼酎の水割りに変更。現在は月の酒代を1,500円にまで下げることができました。ここまで到達した頃には、節約が趣味のように暮らしのすみずみにまで波及し、楽しい娯楽のようなものになっていました。

毎月7,750円、年間93000円かかっていた酒代が毎月1,500円、年間18,000円に下がりました。浮かせた金額は、毎月6,250円、年間75,000円です。

それでは、私がストレスなく浮かせた6,250円は20年でどれだけの利子を生んでくれるかを計算してみましょう。

年利3%
利息端数切捨て
積立年数 20年
積立額 0.625万円
積立前の元金 0円
復路方式 年複利
利息組込 期初
課税方法 複利毎課税20.315%

利子は20年で約53万円、税引後利子は約42万円。利率4.5%の場合は…↓867,000円、税引後利子は約70万円!(20年後の60代まで今と同じ飲酒量で行くつもりか、という話は一旦よけておきます)

日々の労働で得られる報酬には限りがあります。特に私は自営業のためボーナスがなく、限られた時間を使い切って得られる最高金額の天井をなかなか超えることができません。つまり、右肩上がりの人生ではないのです。

40代でリセットした私がここからできることは、収入から差し引かれる支出の穴をできる限りふさぐ こと、得られた収入からわずかでも投資にまわして複利で運用する ことしかありません。まずは自分が明らかに浪費だとわかっているところから調べることが、その先に続いていく細々とした別のお金の見直しに最も効果的ではないかと考えるようになりました。事実、最も気になっていたものをやっつけることができてからの他の支出の見直しは、いとも簡単に攻略していくことができました。
※投資はよくわからないのでやらないという方は、シンプルに月々の浪費をセーブする、ということで良いと思います。月6,250円をシンプルに貯蓄するだけでも20年で150万円を貯めることができます。

ここで大事なのは、無理をしたり、我慢をする節約はしない ということです。浪費でたくさん楽しんだなら、その節約も同じように楽しめる形でできないか、と私は考えました。節約による我慢は長く続きませんし、押さえた気持ちはどこかで爆発したり、違うストレスを生み出してしまうかもしれません。未来への安心にエネルギーを注ぎすぎて、今がハッピーでなくなるのも悲しいことです。私は仕事の後のお酒は頑張った自分をねぎらってくれるものだと今でも感じていますし、美味しいお酒を作ってくださっている会社にも心から感謝しています。

これは他の浪費にも言えますが、娯楽や楽しみを生活からすべて取り払ってしまったら、文化を楽しむ喜び、人生の彩りがなくなってしまうので、それらは大切にしたい。ただ、現在や未来の家計を圧迫するような浪費や、家族をかえりみないレベルの趣味に没頭するのは自分や家族を悲しませることになるので、何事も、黒字家計の範囲内で楽しむこと、が大事だと思います。そのために、数字の効果を使うのです。

お金は数字です。資産というのは、通帳やデータ上で記録されている数字が増えたり減ったりしているにすぎません。(もちろん、それが実際の暮らしに直結はしますが)私たちは、その数字をみて安心したり不安になったりしているように思います。

数字で不安になれるなら、数字で安心も得られる。

そこで、一度自分の使っているお金で最も気になっているものをまず調べてみる、数字で理解する、というのがてっとり早く不安を消すのに最適だと思った のです。

かつての私が酒量の多かった日々から数年かけて節約を楽しむ方へと変化したように、ちょっとずつ見直しを始めていくと、1~2ヶ月で大きな変化はなくても、数年後には何かしらの変化が起きるということを体感しました。

人生で、ある日、雷鳴がとどろいて劇的な変化が起きてくれたらうれしいですが、そんなことは起こりません。仮に万が一そんなことが起こったとしても、劇的な変化は長続きしません。だから、自分でもわからないくらいの微量の変化を少しずつ積み重ねながら変わっていくことのほうが、長い目でみて確実に身につきます。

よかったら皆さんも、自分がこれは浪費だなと思うものをしばらくの間、把握してみてください。数字で可視化してみたら、案外そうでもなかった、とか、とりあえず1割だけまず減らしてみようかな、といったことを考え始められると思います。案外1割の削減は、それほどストレスがありません。もしうまく1割削減することができたら、浮かせたお金を積立計算サイトでどのくらいの可能性を秘めたものなのか調べてみてください。すると、今までにない新しい感覚を得られると思います。

それから、2024年から新NISA制度も始まりますので、まだ証券口座を持っていないという方はこの機会に少額の投資から始めてみられてはいかがでしょうか?

 

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