私は生活雑貨へのこだわりが強く、若い頃からグラスや皿の形にこだわり、お気に入りを探して店を何件もまわるようなタイプでした。ただ、少量の大事なものを大切に使うという感じで、生活雑貨にそれほど浪費をしたことはありません。
結婚後はティファールの圧力鍋を使ったり、コーヒーミルで豆を引いて煎りたてのコーヒーを入れるなど、自己満足度の高い暮らしをできていました。ところが離婚と引っ越しを経験。
限られた新生活資金で取りそろえた生活用品は、近所のスーパーで手に入るもの一式。屋根があって、ご飯が食べられて、最低限の服があれば生きていけるじゃないの、と言われるかもしれませんが、使い勝手のよかった職人の包丁は数百円の包丁に、お気に入りだったツールもなくなり、それまでの暮らしとの落差に小さなため息がでたことも。そしてその時に、地震や河川の災害でお気に入りの家財道具を一気に失った方が新しい暮らしを始められた時も、こんな感じだったんだろうなと、初めて思いをはせることができました。
暮らしが落ち着き、数年経つと貯金も増え、少し余裕がでてきました。その際に新しい悩みができました。それは、どのフライパンを買ったらいいか、わからなくなったことです。余裕があった頃は選ぶ自由があり、数千円の有名メーカーのフライパンを使っていました。しかし、極限まで切り詰めた生活まで下げてからスタートした今は、もう一度かつてのようなものを求めていいのか、それとも今までのように最安のものを選んで堅実にやっていくべきなのかが判断できなくなったのです。
まだまだ現在も貯金が潤沢とは言えないので、安いもので頑張らないといけない状況だと思うのですが、1年で使えなくなるフライパンを毎年買い替えるのと、3年で使えなくなるフライパンを3年ごとに買い替えるコストが同等である場合は、3年のほうを選べば良いと思うのですが、ほんの少し背伸びをするともう少し良いものを買えないわけではないレベルに到達すると、ここはもっと先を見通して、5年、10年と使える高ランクなフライパンを選んで日々の使用単価を下げてもいいのではないか、それとも自分は、老後破綻しなくなるまで安価フライパンで頑張ったほうがいいのか。生活水準を上げないことの重要さも痛感しているので、考えれば考えるほど、判断に困ってしまいました。
▲業務スーパー フライパン 657円
そこで、娘に知恵を求めました。
私:ランちゃん、ママはこういうとき、どっちを選んだほうがいいと思う?
娘:一番安いものから試すんだよ。それで、それがどういうものか分かったら、次はひとつ上のものを試すんだよ。それがだめになったら、またひとつ上のものにする。そしたら色々わかってくるでしょ!
…ということで、最安なものから今後、ひとつずつ、長い長い時間をかけてランクを上げていこうと思います。そうしていつか、有名メーカーのフライパンにたどり着くかもしれない、着かないかもしれないけれど、そのときには、あんなものも使ってみた、こんなものも使ってみた、というたくさんの経験値 が増えている。そうか、長い人生で色々試す機会ができたことをこれからは楽しもう、と思ったのでした。