多忙により、久々の更新です。
前回はポータブル電源を購入する前のことを書きました。
今回は実際に使ってみた感想をまとめます。
2023年11月末に購入、約9ヶ月が経過しました。
気付いた点、感想などを思い浮かんだ順に列挙していきます。
※今後も気づいたことがあれば都度加筆していきます。
購入してすぐの頃は、とにかく太陽があたっていれば発電してくれるだろうと、真冬の12月に朝7~8時にいそいそとソーラパネルを設置していました。
ところが、どんなに太陽光がしっかりパネルに当たっていても、朝夕は充電の数値が大して増えません。原因を調べるうちに、10時~15時までがゴールデンタイムで、それ以外は発電量がかなり少ないことが判明。どのくらい差があるかというと、一生懸命にパネルに光が当たるように四苦八苦しても、夏場の朝夕は、わずか1~2%程度。秋冬は3%くらいはいきますが…。
ベランダ発電目的で購入を検討されている方は、ゴールデンタイムの太陽の照射がどのくらいあるかをしっかり確認する必要があります。
この事実を知ってから、朝8時に太陽光がさんさんと降り注いでも、「早く設置しないともったいない!」と焦らなくなりました。
そしてもっと大切なのは、ゴールデンタイム(10~15時)にできるだけ長い時間、直射日光を当てられるかどうか。
我が家は南向きの立地のため10~15時の太陽光をしっかりキャッチできましたが、東向きで午前中だけ太陽光がたくさん当たるとか、西向きで夕方だけ太陽光がたくさん降り注ぐというご家庭の場合、ベランダのソーラー発電はかなり不利だと思います。
ジャクリのソーラパネルのサイズは、広げた状態で
100ワット:縦約54cm×横122cm
200ワット:縦約54cm×横232cm
です。
パネルのどこか一部に影がかかっていると発電効果が減る。
これは賃貸マンションのベランダ発電においてなかなかにハードルをあげる点だと思います。購入当初はパネルの一部に影がかかると発電効果がなくなることを分かっておらず、パネルの3分の2くらいに降り注ぐ太陽光を目にして「このくらいしっかりあたっていれば大丈夫だろう」とのんきなことを考えていました。
ところが発電量が伸びません。調べるうちに、パネルの内部で連結している電気の通り道の導線に起因することが分かってきました。
この黒いパネルひとつひとつが発電してくれればOKだと思いがちですが、実際はこれらひとつひとつが数珠つなぎのように直列でつながっていると考えなければいけません。
つまり、ひとつのパネルに影がかかって発電量が下がると、その下がった量にひっぱられて全体の発電量も下がるため、できるだけ全体的に当たるように配慮しなければいけません。
太陽光がベランダのひさしを超えてしっかり当たってくれる季節は2本の物干し竿に乗せることができましたが、夏に向かって太陽の角度が変わり、フラットに広げて当たる時間がどんどん短くなってきました。気がつくと手前側が影になって全体に当たっていない…ということが起きるようになりました。そこで、例えば午前中は平らにして、午後は少し傾けるといった試行錯誤を色々とくり返すことになりました。
ようやくこの位置でこうすればよい、という最適角度や置き方を見つけても、季節はどんどん巡っていきます。
この8ヶ月色々と検証するうちに、太陽の照射角度や日照時間、方角などに以前よりも敏感になりました。今では近所を散歩しながら、このマンションのベランダは日照時間が短そうだとか、この角度ならパネルをこう吊るせばうまく発電できそうだ、などと新しい視点で眺めるようになりました。
真冬にソーラー発電をスタートさせたので、12月の1ヶ月は1日の発電量が15%とか、終日の晴天でも25%くらいでした。春がとても待ち遠しかったです。やがて2月、3月と過ぎるごとに発電量が大幅にアップ。
ところが、梅雨をすぎて7月、8月に入ると発電量が下降。イメージ的には真夏が一番太陽が強いので最盛期のように思いますが、実際は発電量が最も多いのは春と秋。
理由は、ソーラパネルが高温になりすぎると発電量が3割減くらいになるから。
それでも、全くできないというわけではないので日々の活動を止めるわけにはいきません。ただ、酷暑のせいで毎朝夕にソーラパネルを出し入れするのは真夏はなかなか大変です。
電気代節約のためにベランダでソーラ発電をするには、ソーラパネルを出し入れを、歯磨きと同じくらい習慣にしてしまう ことです。
だいたい2~3週間くらい同じことをくり返すとなんでも習慣になると言われているそうです。私は「太陽光は資源(資産)だ!」と思うようになってからは毎日の作業が手間ではなく楽しみに変わりました。
賃貸マンション暮らしでベランダ発電をして節約につなげられないか、というところからスタートして約8ヶ月。明らかに節約効果がでました。年間数万円の差を生み出してくれるので、初期費用が高額だとしてもやったほうがお得なことは実感しました。
ところが、賃貸マンションのベランダスペースには限りがあります。
我が家のベランダではもうひとつ、節約効果を狙って取り組んでいるミッションがあります。それが、ベランダ菜園。つまり、ソーラーパネルと植物が、太陽光を取り合うことになるわけです。また、洗濯物も干さなければいけない。要するに、ベランダのスペースは何かと引き換えに何かを得る、何かと引き換えに何かを失う=スペースには限りがある のです。
我が家は2024年春に引っ越しをしました。部屋選びの際の条件で私が重視したのはベランダの太陽光照射スペース。広さ55㎡から70㎡に転居して明らかに太陽光はたくさんゲットしたのですが、スペースが広くなったため夏場のエアコン使用量が増え、電気代がアップ(家賃も若干アップ)。現在は、今の環境をベースにここからどう節電に取り組んでいくかを再構築中です。
引っ越し後、ベランダの広さが以前の1.4倍くらいになったので100ワットのソーラーパネルを2枚新たに追加。現在パネル4枚で挑んでいます。
2024年9月現在、じわじわと発電量が伸びて溜まった電気を夜から朝までの間に消費できなくなってきたので、数日前から電気コンロに加えて夜のテレビ・DVDプレーヤー・ワイファイルーター類の電源として使い始めました。また、これまで土鍋でご飯を炊いていたのですが炊飯もIHに切り替えるためステンレスの鍋を購入し。これで炊飯と味噌汁が太陽光で済むことに。エアコンを完全に使用しなくなる季節に電気とガスがどこまで下がるかが今から楽しみです。
季節によって電気・ガスの使用が最小になるなら、夏場にエアコンで電気代があがっても1年トータルで見ればよしと考え、夏場のエアコンをケチケチしなくてよしとしたいなと思っています。
引っ越しをお考えで、新生活でベランダ発電をしてみようと思われている方は、スマホアプリで方位磁石をいれて内覧の際に太陽光の差し込む角度をよく見ておくことをおすすめします。
上の階のベランダがひさしのように影を作っていないか、ベランダが広いからといって広く光が差し込まないかもしれない可能性もみておくとよいでしょう。
貯めた電力は画面に「%」表示されます。この残量を確認しながら電気を使っているのですが、残量は20%を切らないようにと取り扱い説明書にかかれています。
使い慣れない頃、40%の残量でまだまだ大丈夫と思い、ドライヤーや電動自転車、電子レンジに使用して一気に0%になってしまったことがあります。説明書をしっかり読み込んでいなかったため、翌日パネルを広げて発電したのですが一向に発電量が増えません。(よく読もう…。)調べた結果、残量は最低20%ないといけないと知りました。また、100%に近づけて充電することもポータブル電源のバッテリー劣化につながることも分かりました。
最適な電池残量は20~80%くらいである。
このことに購入&使用後に気づいて、我が家の場合はソーラーバッテリー1000ワットではなく1500ワットにしておいてよかったと心底安心しました。1000ワットのバッテリーで20~80%をキープしながら使おうとすると、自分が理想とする電気使用量や蓄電量とのバランスがうまく合わないからです。ベランダでたくさん発電できるのに過剰に貯めすぎることでバッテリーの劣化を招いたり、たくさん使いたいのに20%までで使用をストップさせるのは実にもったいです。
こういった心配をなくすには、自分が使いたい家電の消費電力を購入前に何度も計算して調べておき、1ランク容量の大きなものを購入することです。
ソーラーバッテリーもパネルも、結構重たいです。1500ワットのソーラーバッテリーは17kg、100ワットパネルは4kg。毎朝バッテリーをベランダによっこらしょと持ち出し、4枚のパネルを広げたり吊り下げたりして、夕方に取り入れる作業を1ヶ月ほどした結果、「こりゃいつか腰を痛めるな」と思いました。
そこで、バッテリー本体はベランダに近い窓辺に置き、窓を細くあけて充電コードを通し、ベランダで広げたパネルとつなぐことにしました。
また、室内でも17kgのバッテリーを持ち運ぶことは難しいので、タイヤつきのミニ台車を購入しました。(▲白い台車の上に置き、キッチンから窓辺を異動させながら活用しています。)
2024年の猛暑は本当にすごかったですね。7月から9月中旬くらいまで、エアコンを止められませんでした。
▲パネルの左端をご覧ください。もともと黒かったパネルが、わずか8ヶ月ほどで色褪せて淡いグレーになっています。ソーラーパネルは5年保証なので発電機能としては保証されていますが、パネルの生地色は太陽光で劣化します。
この色落ちは、長時間×長期間による、太陽照射の熱量の強さを物語っていると思います。
使用頻度がキャンプの時だけ、という方ならここまで色落ちすることはないでしょうが、我が家のように節約のために晴天の日は必ず発電するご家庭ではこうなります。一度購入したら、最後まで使い切ることが大切だと思います。
ベランダ発電はもともと、節約のためにはじめました。
でも、そのことをきっかけに、電気について、エネルギーについて、社会や暮らしについて、自分を取り巻く社会インフラについて等、たくさんのことを考えるようになりました。
ひとつのことに意識が向くと、その情報センサーが敏感になってどんどんさらに情報が入ってくるようになります。
現在、社会の実証実験として、ビルの窓に貼り付けられるソーラーパネルを開発中だと知りました。私が取り組んでいるベランダ発電は、まだまだエネルギー効率としては個人の負荷が大きいです。重たいパネルをひろげ、角度を気にしたり、天候を気にしながらコツコツと発電し続けて、ようやく年間数万円の効果です。すべての人がこのような手のかかることはできないと思います。だから将来的には、もっと手間のかからない方法で、そして軽量で、かつコストも負担がすくない方法で、家庭で、賃貸の人であっても発電できるしくみがうまれてくれたらいいなと思います。
各家庭が発電したり蓄電できるようになれば、地球環境に負荷のかかる発電所の建設数を減らせる…だけでなく、それは防災にとってもよいことでしょう。
昨今の水害頻発状況を見ていると、停電対策としてのバッテリー購入の必要性も高まっています。地震への備え、災害への備えとして、蓄電バッテリーの知識をもっておくことも大事になっていきそうです。
このちいさな節約生活は、ちいさな気づきを積み増しながら日々、私の目線や思考を広げ続けてくれています。
何かを節約するということは、体内エネルギーを消費するという行動である。
何かを得ることは、同時に何かを手放すことである。
エネルギーは等価交換である。
ベランダ発電をやっていなかったら、もっと電気代がかかっていた。
行動してはじめて、体験を通して新しい目が開く。