ひとつかみの米 ひいおばあちゃんの教えと複利のような暮らし

ちいさな節約

私の母が、何度も話してくれた曾祖母──私の曾祖母「ひいおばあちゃん」の話があります。

昭和20年代生まれの母は、山奥の大家族の長女として育ち、毎朝2〜3升(20〜30合)のお米をかまどで炊くのが日課でした。炊飯器などない時代。小学生だった母は、重い米を羽釜に入れ、薪をくべて炊きあげていたそうです。火加減のうまさが、ちょっとした自慢だったとか。

そんな母に、祖母(私の曾祖母)はよく言っていたそうです。

「炊く前の米から、ひとつかみよけておきなさい。」

1升なら1つかみ、2升なら2つかみ──毎日少しずつ取り分けておけば、それがいずれ一度分のご飯になる。豆や麦、洗剤にいたるまで「ほんの少しだけよけておく」。そんな暮らしの知恵を、曾祖母は家族みんなに徹底させていたのです。

そうして少しずつ倹約を重ね、貯まったお金で山林を買い、やがて近隣でも知られるほどの資産家に。母いわく「おばあちゃんが銀行に行くと、必ず銀行員が車で送ってくれた」そうです。

ひとつかみの意味を「計算」してみた

私はこの話を子どもの頃から何度も聞いていましたが、長らく「へえ、すごいな」で終わっていました。やがて一人暮らしをし、フリーランスとして働き、ひとり親として娘を育てるようになっても、曾祖母の言葉が腑に落ちたことはありませんでした。

でも、50代が近づくにつれ、だんだんと未来が不安になってきたのです。仕事はいつまでもあるとは限らない。将来もらえる年金も少ない。子どもの自立まではあと10年近くある…。
ようやく私は、「ひとつかみの米」の意味を、人生のリアルとして受け止められるようになりました。

お金について真剣に考え、100冊以上の本を読みました。その中で学んだのは、「考えること」と「行動に移すこと」は別物だ ということ。そして、思い出したのです。曾祖母の言葉を。

 

計算してみた「ひとつかみの米」

お米1升は1500g。

私の手でひとつかみ握ると、約19g。
12歳の娘・ランの手で測ると、平均14gでした。

これは、全体の約0.94%。

 

計算してみたところ、ひとつかみ……毎回14gよけておくと、107回目で1升分がたまることがわかりました。

つまり、108回目は「よけた米だけ」でご飯が1回食べられる という計算です。

これは1年に換算すれば、3.4回分に相当します。

これを10年続ければ、10年目は1ヶ月分、よけておいたお米だけで暮らせることに相当します。

この考え方でも十分驚きですが、曾祖母は米だけでなく、洗剤も食材も、何もかも「ちょっとだけよける」精神で暮らしていました。それはまるで、時間のかかる複利 のような考え方です。

 

私の暮らしと「ひとつかみ」

私はいま、娘と2人暮らし。毎日炊くのは1〜2合。そこから1%をよけると、1.5〜3gほど。指でひとつまみ。

数えた見たところ、72粒でした。

この数字を見て「ちいさすぎる」と思うか、「それでもやってみよう」と思うか。

私は後者を選びました。

小さな一歩を積み重ねる暮らし。

それが、曾祖母から続く教えであり、私が今ようやくたどり着いた「始まり」なのかもしれません。

 

これから始めるブログ「たまごどん」

そんな思いを込めて、これから「たまごどん」という雑記ブログを始めます。
私(マイ)と娘(ラン)とのささやかな日常を記録しながら、倹約や生活の工夫、時間やお金の「ほんの少し」をどう積み上げていくかを 「考える場所」にしていくきたいと思っています。

WordPressはまだ不慣れで、何もかも手探りですが、文章を書きながらゆっくり進めていきます。
「もう、さっさと始めなよ!どうせ誰も見てないんだから!」と娘に言われたので、はい、そうします…。

2023年6月28日

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